山川漬けは、鹿児島県山川の名産品で、焼酎がめ(つぼ)で熟成させる壺漬けのお漬物です。
同じく鹿児島や宮崎の「壺漬け」と同じものと思われている方もいますが、山川漬けが塩のみで漬けるのに対し、壺漬けは醤油で漬けられます。
山川漬け 由来 特徴
山川漬けは、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際、『山川港で近所の農家が作った干しだいこんの漬物「唐漬け」を軍船に積み込んだ』という記録が残されていて、この「唐漬け」が現在の山川漬け、といわれています。
山川漬けの作り方は、だいこんを天日で一ヵ月間干したものを杵でつき、肉質を均一化したうえで、かめ壺に入れて塩漬けにし、四ヵ月から半年ほどかけて乳酸発酵させます。塩だけで漬ける伝統的手法が、独特の歯ごたえと乳酸発酵の酸味の強い味わいを産んでいます。
山川漬けと壺漬けの違い
壺漬けは、昭和40年代に南九州産の沢庵漬けが大量に売れるようになり、生産量が追い付かなくなり、タンクで醤油で漬け込まれ作られたものです。
「壺漬け」という名前なのに、実はつぼでつけられていません。壺でつけられているのは「山川漬け」なんですね。
・山川漬け・・・塩漬け(乳酸発酵)、壺でつける
・壺漬け・・・しょうゆ漬け、タンクで漬ける
そして壺漬けは甘身を感じる味わいで全国で人気となっていますが、山川漬けはその独特の味や臭い故に地元の人たちからの人気は根強いものの、観光土産品として細々と販売されるという現状になっています。
栄養たっぷり山川漬け
最近では甘いお漬物や、すぐにできる「調味料漬け」の「浅漬け」が人気となっている傾向にありますが、栄養面で考えると作る期間やが長く手間暇もかかりますが乳酸発酵させたお漬物の方が期待できます。
伝統製法で作られる『山川漬』も、ギャバ茶並みのGABA(γ-アミノ酪酸)が含まれているという研究結果も出ています。
ギャバには、気持ちを落ち着かせる「抗ストレス作用」があります。ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑えて、リラックス状態をもたらす作用があるので、ストレス社会に生きる現代人にとってとても良いお漬物ともいえます。
山川漬けは1991年平成3年に「鹿児島県ふるさと認証食品(Eマーク食品)」に定められています。地域の伝統的な誇るべき食品として、ぜひとも未来に残っていってほしいお漬物です。
山川漬け 通販
●ふじさき漬物舗 山川漬け ふるさと認証食品マーク付き(伝統的製造方法で作られたもの)
きざみ山川漬け
●製法にも徹底的にこだわり無添加で仕上げている山川漬け
※参考文献:小泉武夫著「漬け物大全」、小川敏男著「漬物と日本人」
※参考文献:漬物同好会「諸国漬物の本 風土が生んだ逸品を訪ねて」
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