日本の漬物の種類はとても多く、それぞれの地域の風土や習慣によって漬け方は多種多様になっており、分類の方法も様々です。
一番代表的なものとして、①漬ける際の調味料別というものがあります。
また②発酵ありなしでも分けることができ、③貯蔵期間といった分類方法もあります。
漬け物の分類
こちらでは大きく分けて3つの分類方法について紹介していきます。
①漬ける際の調味料別
1番目は、漬ける際の調味料で分ける分類方法です。調味料での分け方は、一番分かりやすく親しみやすい方法です。調味料とそれによる代表的な漬け方を紹介します。
1.塩漬け(一夜漬け・ハクサイ漬け・梅干し・しば漬け・スグキ漬けなど。)
2.ぬか漬け(沢庵漬け)
3.ぬかみそ漬け (キュウリ・ナス・カブなど。
4.粕漬け(奈良漬け・守口漬け・ワサビ漬けなど。
5.酢漬け (ラッキョウ漬け・ハリハリ漬け・ピクルスなど)
6.麹漬け (べったら漬け・三五八漬けなど)
7.みそ漬け(コンブのみそ漬け・ゴボウのみそ漬けなど)
8.しょうゆ漬け(福神漬け・やたら漬けなど)
9.カラシ漬け(ナスのカラシ漬け・キュウリのカラシ漬けなど)
②発酵ありなし(味の変化)
2番目の分類方法として、「発酵しているか、発酵していないか」といった分け方が挙げられます。
(参考文献には、発酵により風味や味が変化するものと、調味によって味が変化するものに分ける、という「味の変化による分類」ができるとありましたが、ここではもっと単純に『発酵ありかなしか』で分類しました)
発酵によるもの
◎ぬか漬け・沢庵漬け・塩漬けなど
これらの漬け物は、材料をぬか床や塩水に漬けているうちに、乳酸菌など微生物の増殖により発酵が起こり、それにともなって複雑な化学変化を起こし風味が出てきます。
発酵させることによって日持ちさせることができ、昔は漬物は保存食品だったことがうかがえます。
発酵させないもの
◎浅漬け・一夜漬けなどの塩漬け・酢漬け・醤油漬け・かす漬け・みりん漬け・味噌漬けなど
これらの漬物は調味液に短時間漬け込むことで副材料の成分や風味が材料に浸透してうまみができ、発酵作用はありません。風味が変化し、長く保つことはできません。
これらの漬物は、保存よりも味を楽しむ目的の方が主になります。
③貯蔵期間
3番目は、貯蔵機関による分類方法です。
1.即席漬け
早漬け(今でいうところの浅漬け)ともいいます。1~2日のうちにできるものをさします。半日くらい漬けたものは一夜漬けといいます。
これらの漬物は材料の生に近い感覚と味を楽しむもので、貯蔵期間は長くても3日くらいです。
2.当座漬け
当座漬けとは、即席漬けよりも漬け期間が少し多く2~3日から1~2週間でできるものを指します。こちらも長期保存を目的としない漬け物なので、貯蔵期間は長くありません。
3.保存漬け
保存漬けは、1~2ヶ月から5~6年貯蔵するもので、日を経るほど味がよくなります。
この方法で大切なことは、材料に対する塩の割合です。塩はある程度以上濃度が高くないと防腐作用が働きません。そのため、保存期間が長いものや、ゆっくり発酵させるものは塩分濃度を高めることが必要です。
(参考文献:新・食品事典8 漬け物 河野友美編 真珠書院)
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