奈良県のお漬物と言えば「奈良漬け」。塩漬けした野菜(白うり、胡瓜、西瓜、生姜など)を酒粕に何度も漬け込んだ「奈良漬け」は歴史も古く、奈良を代表するお漬け物として全国的に有名です。
酒粕漬け独特の上品な風味と心地よいコリコリとした食感は、見た目によらずあっさりとした後味で、お土産物としても人気です。
奈良漬けの歴史・特徴
奈良漬けの歴史は古く、中国から仏教とともに日本に渡来し、お坊さんが酒の名産地でもある奈良で漬けたのが発祥とされます。現在判明している奈良漬の最古の記録は、およそ1300年前の奈良時代の長屋王邸跡から出土した木簡に 『進物加須津毛瓜……(たてまつりものかすづけものうり)』と記されてあるところから始まります。
そして平安時代中期、延長5年(927年)に編纂(へんさん)された法令集『延喜式』には、 「粕漬(かすづけ)瓜九斗」「粕漬冬瓜(かすづけとうがん)一石、粕茄子(なす)等」といった、奈良漬けの原型であるお漬物の記述がみられます。
米で作ったお酒自身が貴重なものであったため、 奈良漬けの事だと推測されるこの「粕漬」(かすづけ)は、当時は上流階級での食べ物でした。
室町時代に入り清酒造りが始まり、その酒粕の中に塩漬野菜を漬け込んだ漬物が現在の奈良漬の基本的な形となりました。
そして江戸時代初期、奈良の中筋町の医者糸屋宗仙という人物が奈良漬をつくり、商品として売り出されるようになったのは江戸時代後期の事だといわれています。
奈良漬けはその独特の風味から徳川家康も大変気に入り、江戸屋敷まで奈良漬を造る名人を呼び寄せ奈良漬け職人として召し抱え、食していたと言われています。
延々と受け継がれていく奈良漬け
奈良漬けは作る工程がとても多く、まず塩や酒粕、調味料で何度も漬けかえ熟成発酵させる下漬けから始まり、塩抜きの中漬け、新しい酒粕につける上漬け、さらに上漬け直しなど、手間も時間もかかるお漬物です。
お米の消費量減少と共に漬け物消費量も年々下がっていく中、それでも手間ひまをかけて昔ながらの製法を守って作られている奈良漬け業者がたくさんあります。
歴史と伝統ある奈良漬けを守っていきたい、といった意気込みを感じることができます。
奈良漬け 美味しい食べ方
奈良漬けは食べる際に食べる分だけ、酒粕を洗い流して良く水分を切って薄切りにするのが美味しくいただけます。食べる直前に切ったほうが、風味を損なわずにすみます。
お酒がきつく感じる場合は、薄く切ってラップをしてから、半日から1日冷蔵庫に入れておきます。そうすることによって酒精分が発散し、酒粕本来の甘味が強くなり食べやすくなります。
アレンジレシピとして、ポテトサラダに入れたりタルタルソースにいれたりするのもいいですよ。
参考:奈良漬の召し上がり方 | 森奈良漬店 (naraduke.co.jp)
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